アッティカ碑文にみる役職者と私人についての予備的考察
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概要
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アテナイ民主制における市民の政治参加の問題を問うことは、いささか時代遅れな問題のたて方であるように思われるかもしれない。そもそも「民衆= デーモス」をひとまとまりのものとして取り扱うこと自体がアッティカにおける階層差・地域差を考慮したとき、ナイーブにすぎるという批判もあろう。しかしながら、民主制下の言説においては、階層差すら、デーモスの一体性を前提として表れるのであって、言説としての「デーモス」はテーマとしての意味を失っていない。碑文や法廷弁論にあらわれる人名の研究の結果、アテナイの政治参加の実態において、民会での発言が一部の政治家たちやそのとりまきなど、数えられる範囲の人々に限られていたことも明らかにされている。
- 奈良大学総合研究所の論文
- 2005-00-00
著者
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