NPM、 PPPから考える指定管理者制度
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概要
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日本社会教育学会六月集会 ラウンドテーブル① 2005年6月5日 (於 東京大学)本ラウンドテーブルでは、指定管理者制度の背景思想であるNPM、PPPを手がかりとした公共のあり方と、制度の運用に関する問題点が報告、討論された。報告者の田中孝男氏から、NPM、PPPの思想・背景・制度の概要と、日本の政府組織における展開状況、指定管理者制度運用に望まれる視点、現状の評価、条例・制度・協定の改革案が報告された。大嶋貴明氏からは、博物館の原理的基準と倫理規範から合意を形成し、それに照らした運営がなされるべきこと、また、ガバナンスには市民の多様な判断が平等にたたかわされる土俵が必要だが、指定管理者制度ありきでは、方向性が決まってしまわないか、という危惧が述べられた。田中氏からは、NPMで言うPlan-Do-Seeは、連鎖構造で現実には切り分け不能であること、アメリカでの行政管理論の歴史的背景、公共の仕事を統制する原理としての法治主義について説明がなされた。また、市場の原理で決められないこと(税金の配分)を議会の中で決めるのが民主主義であり、サービスの水準や質を市場でないところで決めて初めて醍醐味があることが述べられた。さらに、公共が何であるかには多元的な考え方があり、その決定を役所が独占するのは適切ではないこと、NPO等市民社会の充実の中で、営利企業に数億円の市場(パブリック・ビジネス)を「解放」するのでなく、多元的な公共の価値を、指定管理者制度というツールの中で、決めていかねばならない、との説明がなされた。質疑応答では、NPOが指定管理者となった場合、市民側のみが行政に情報を開示し評価されるのかという問題、直営施設の会計データの不在、教育の論理と行政法一般の枠組、憲法89条問題等が提起・議論された。
- 2006-03-25
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