南海交易ネットワークの変貌からみた与論 - 与論と東南アジア港市 -
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概要
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与論を広域の海域ネットワークから歴史的に鳥瞰すると,ジャンク船交易網の中継地点として,琉球,薩摩の両勢力の交易支配圏の中で揺れ動いた小港市国家としての姿が見えてくる。与論の文化の独自性は、様々な勢力の交流する「境域」としての時代に育まれたものであろう。しかしながら,汽船の登場と大型深海港の必要性が,小港市としての与論の海上交通上の意味を減じることになっていくのが近代国民国家体制以降である。海上ネットワーク網の盛衰の激しさは東南アジアにおける港市,ここではマレー半島にあるパタニやプーケットの例のように,小港市が近代の地方統治体制のもとで意味を失い,いずれも国の振興策の対象となる過程と類似する。近代以降の開発(観光開発を含む)の姿勢はより広い意味での歴史地理的視野から進められるべきであるが,しばしばその視点を欠いているのではないかとおもわれる面がある。From a view of history of wider sea-trade network of South China sea, we can find Yoron as a small port-polity which was trifled with Yoron in the trade sphere of influence of both the influence of Ryukyu and Satsuma. The peculiarity of the culture of Yoron grew up under the times as "Borderland" which various influence interchanges. However, a steamship appears and was enlarged in the second half of the 19th centuty. The status of Yoron as a small port on the marine network fell after the modernization when harbors also become large-sized. The rise and fall of the marine network have a very sharp change. Process in which Yoron loses existence value under modern district government organization, and is set as the object of the promotion measure from a country is similar with the cases of other ports as Pattani and Phuket in Malay Peninsula. The posture of the development after modernization ( including sightseeing development) should be advanced from the historical and geographical view in a larger meaning. It seems that these viewpoints often lack in the development project.
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