『江西通志稿』
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概要
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ここに紹介するのは、呉宗慈(一八七八-一九五一)が主任委員として、一九四六年より一九四九年の四年間に編纂し完成させた『江西通志稿』(全一〇〇冊)の、第一冊におさめられた「江西通志稿総目」、および、第一六冊におさめられた「介紹K・V・A水利工程計画」の二つの史料である。その理由については3、4において述べる。呉宗慈についてここに略歴を紹介する。呉宗慈は、江西省南豊県の人で、辛亥革命前後に孫文に従って国民革命に参加した。一九二九年からは漸江省・湖北省・江西省において、炭鉱・鉄鉱・モリブデン鉱の経営者となったが、実業家としては失敗した。その後、彼は歴史編集者としての道を歩み、一九三九年以後、江西省通志館の設立に主任委員として迎えられ、一九四〇年に江西省通志館が設立された後は、その館長職を受理した。一九四九年中国革命が成立した以後も、彼はそのまま江西省にとどまり、中華人民共和国江西省政府参事となってその生涯を終えた。『江西地方文献索引』に列記された呉宗慈の著作だけでも二三冊の刊行本および原稿を残している。
- 奈良大学史学会の論文