瀬戸内海沿岸地域における海陸連絡輸送の展開--四国の場合を中心に
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概要
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四国の鉄道網形成は、他地域に比較して遅速であり、全国的には幹線整備がほぼ終了し、地方線建設に移行しようとする1920年時点においてさえ、幹線の骨格すら明らかでない状況にあった。その結果、四国諸地域の地域交通体系は、島内においてその「幹」となる路線が見いだせず、必然的に対岸の山陽本線を「幹」とした発達を余儀なくされた。そのため、四国の近代地域交通体系においては海陸連絡機能が非常に重要な意味をもった。本稿では、愛媛県松山市と徳島県徳島市を事例として取り上げ検討した。その結果、四国島内の近代地域交通体系は、同じ瀬戸内海地域とはいえ、本州沿岸のように沿岸海運を基幹とした前近代体系から幹線鉄道を基幹とした近代交通体系に直接転換したわけではなく、両者の間に本州の幹線と島内各々の地域の局地鉄道を本四連絡航路によって結ぶ時期が存在した。その際、近世以来の海陸結節点がそのまま継承されたのではなく、海運の近代化に対応して新たな結節点を求めざるをえなかったことが明らかになった。
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