小学校における「環境問題」の授業づくり -山の中の「ゴミの山」の実践(小5)を例に-
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1977年度版の小学校学習指導要領によって打ち出された文部省の「環境教育」は、環境破壊の実態を隠し、企業や行政の責任をぼかしながら、「環境問題」を個人の問題にすり変えようとしている。こうした状況をふまえて、「環境問題」を次のようにとらえたい。人間の生活環境に著しく悪影響を及ぼす現象であり、それは地域あるいは地球的規模での"モノ"の急激な増加によって全体の生態系のバランスが崩れることによって引き起こされるさらに、その"モノ"は、それ自体人間にとって有害な場合を含んでいる。上記のように教科内容を設定することによって、「環境問題」をテーマにした教材の開発が容易になる。たとえば、「もし○○がふえたならば・・・なる」というように考えて、○○にあたる"モノ"教材を開発するように。"モノ"教材の中には、農薬のように、それ自体人間にとって有害なものもある。人間にとって有害であるような"モノ"教材を扱う際には、単に量的な問題だけでなく、質的な問題にもふれる必要がある。「環境問題」の授業における"モノ"教材として、「水」や「ゴミ」は典型的な教材となりうる。"モノ"教材としての「水」を扱う際には、「水」そのものを調べる活動が必要である。「水」を調べる活動は、「環境問題」の理解を確かなものにする。「水」の水質検査として、小学生にはパック・テストが有効である。使い方が簡単で、しかも短時間のうちに目に見える形で示してくれる科学的な方法である。今後の研究の課題は、3つある。①小学校の社会科教育や歴史教育の中で、自然と人間との関わりを軸にした学習を構想していく。②「水」や「ゴミ」以外の"モノ"教材の開発をする。③小学校の教科教育や教科外教育の中に、「環境教育」をテーマにした学習活動を位置づけていく。
- 奈良教育大学教育学部附属教育実践研究指導センターの論文
- 1992-03-31
奈良教育大学教育学部附属教育実践研究指導センター | 論文
- 総合的な学習の時間に関するカリキュラム開発研究
- 幼児教育プロジェクト 研究報告その2 幼稚園教育要領・保育所保育指針の改訂と実践展開の試み -「自然体験」と「子ども相互の関わり」の創出を中心に-
- 人権・多文化教育の動向と課題に関する研究 -奈良県を中心とする状況分析-
- 奈良県におけるいじめ・不登校に関する教育臨床的研究Ⅰ -心の教室相談員を対象として-
- ショットピーニング加工を技術教材へ応用するための基礎研究