植物体の揺れと植物群落内部における光量の変動の測定
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概要
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イネ群落における微気象観測の一部として、植物体の揺れと群落内部(イネの草高75cm)の光量の変動の同時測定を試みた。植物体の揺れの測定には歪ゲージを、光量の変動の測定にはフォトダイオードを用いた。以下に得られた2、3の結果について述べる。風速の増加に伴って運動量輸送量が増大し、植被の揺れが激しくなると、群落内部の光量が間欠的にしかも短周期に変動した。イネの稈の歪と群落内部の光量の変動の標準偏差σs、σLは、共に運動量輸送量uに比例して増加した。このことは、群落内部の光量の変動の標準偏差が、植物体の歪もしくは植物体の変位の標準偏差に比例して増加することを意味している。群落内部の光量のパワースペクトルの最大となる周波数は、植物体の揺れの固有周期の2倍に対応する2Hz付近であったが、それより高周波数側にもかなりのエネルギー密度が存在していた。これらの高周波数成分は、一個体の植物体の揺れや葉の揺らぎばかりでなく、複数の植物体の影響が複合的に重なって生じたものと思われる。今回は、植物体の揺れと光量の変動の測定を試験的に行った結果の報告である。今後は種々の植物群落において、生育段階に応じて群落内部のいろいとな高度センサーを設置して、さらに詳細な観測を行うことが必要と思われる。Light fluctuations and vibrations of plant were simultaneously measured within rice plant canopies, using the photo diode and strain gauge,respectively. They were compared with momentum fluxes measured over the plant canopies. Light fluctuations within the plant canopies were temporally intermittent and also spatially very variable. The standard deviations of light fluctuations within the plant canopies and culm strain rates of a rice plant were proportional to momentum fluxes observed above the plant canopies. This implies that standard deviations of light are directly proportional to those of culm strain rates of a plant, or square of wind velocity. The light fluctuations were studied in the frequency domain, using spectral analysis. The spectrum of light had a maximum peak near 2 Hz and a significant portion of the energy density in the high frequency range was above 2 Hz. They were not only caused by leaf movements due to vibration of plants but also by leaf flutters.
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