肝疾患難病「原発性胆汁性肝硬変」の新規マーカーによる予後予測
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概要
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原発性胆汁性肝硬変(primary biliary cirrhosis, 以下PBCと略す)は未だ根治的な治療法が確立していない肝疾患難病の一つであるが、生涯ほとんど進行しない症例や進行して肝移植が必要となる症例が存在する。PBCの診断には、本疾患に特異的に出現する抗ミトコンドリア抗体(anti-mitochondrial antibodies, 以下AMAと略す)の測定がきわめて有用であるが、AMAはPBCの活動性や長期予後の診断には有用ではないとされ、PBCの長期予後診断に有用なバイオマーカーは知られていなかった。最近我々は、国立病院機構政策医療肝疾患共同研究グループ(National Hospital Organization Study Group for Liver Disease in Japan:NHOSLJ)のコホート研究により、PBCの長期予後の診断には、核膜孔蛋白(gp210抗原)に対する自己抗体(抗gp210抗体)の測定が有用であることを明らかにした。さらに、抗gp210抗体が黄疸を呈し肝不全へ進行するタイプ(肝不全型)の強い危険因子であるのに対して、抗セントロメア抗体が黄疸は呈さないが門脈圧亢進症へ進展するタイプ(門脈圧亢進症型)の危険因子であることも明らかにした。抗gp210抗体と抗セントロメア抗体の測定で予後を推定することが可能となり、より早い時期から対策(治療計画)を立てることができるようになった。
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