製品開発マネジメントの分析ツールとしての設計構造マトリックスに関する考察 <論説>
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概要
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本稿の目的は、複雑な製品開発を分析するためのツールである設計構造マトリックス(DSM: DesignStructure Matrix)について、その基本概念と最近の研究動向を整理するとともに、DSMの分析ツールとしての利点と限界点を明らかにすることである。DSMは、開発製品や開発組織などをシステムの観点から捉え、システムを構成する要素間の依存関係を簡潔に示す行列である。分析対象に応じて、コンポーネントDSM、チームDSM、タスクDSM、パラメータDSMなどがある。近年の研究動向を見ると、(1)開発製品や開発組織の構造を最適化する流れと(2)開発プロセスを最適化する流れがある。構造の最適化には主にクラスタリング、プロセスの最適化にはパーティショニングといった分析手法が用いられる。他の製品開発手法と比較したDSMの利点は、記述する情報の簡潔性、網羅性、一覧性、操作性の良さにある。ただし、DSMは分析手法の一つに過ぎず、製品開発のすべてを分析できるわけではない。DSMには、要素間の未知の依存関係に対する脆弱性、スタティックな分析アプローチ、組織の知識蓄積に関する分析の弱さといった限界点があることに留意する必要がある。This article reviews fundamental concepts and analytical techniques of design structure matrix (DSM) as well as recent development of DSM studies. The DSM is a matrix representation of relationships between components of a complex system, such as products, development organizations and processes. Depending on targets of analysis, there are four basic types of DSM: Component-based DSM, Team-based DSM, Task-based DSM, and Parameter-based DSM.There are two streams of recent DSM studies: 1) optimization of product design and organizational structure and 2) optimization of development process. The former employs clustering, whereas the latter does partitioning.The advantages of the DSMs, compared with other analysis tools, are its conciseness, completeness, and operationality. However, DSMs are not a panacea. The article also discusses some constraints of the DSMs, such as its vulnerability to unknown dependency between components, a static nature of the analytical approach, and relatively weak implications for organizational learning.
- 広島大学大学院社会科学研究科附属地域経済システム研究センターの論文
- 2006-03-31
著者
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