広島地域における自動車部品モジュール化の動向と地場部品メーカーの対応 <論説>
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概要
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本稿の目的は、広島地域の自動車産業における部品モジュール化の動向を明らかにすると共に、地場部品メーカーの対応課題を検討することである。モジュール化には、「製品設計のモジュール化」「生産のモジュール化」「組織のモジュール化」など多様な領域で適用可能であり、それぞれが独自の論理を持っている。自動車産業においては、生産のモジュール化を主な推進力としており、製品設計および組織のモジュール化は副次的なものにとどまる。調査の結果、広島地域で生産されるモジュール部品の製品設計面でのモジュラー度は必ずしも高くないことが明らかになった。機能統合あるいは構造一体化による部品点数の削減や組立工数の削減、作業性の改善が重視されており、生産のモジュール化が推進されている。また、自動車メーカーと部品メーカーの間では、より緊密な協力関係の構築が進められており、組織のモジュール化とは逆の動きがある。今後、部品メーカーがモジュール化に対応していくためには、システム技術の獲得、部品を機能的もしくは構造的に結合する技術の開発、部品設計および企業間のインターフェースを調整する能力の向上、物流システムの改善が求められる。This paper describes modularization of automotive parts by Mazda Co. and analyzes challenges of its local suppliers in Hiroshima region, Japan. Modularity has multiple aspects: modularity in design (MID), modularity in production (MIP), and modularity in organization (MIO), and each has its own logic. At Mazda MIP is the major force that configures modularization of parts, while either MID or MIO remain marginal. The research shows that product architecture of modules that local suppliers produce has yet achieved modularity in design. Modularization efforts by Mazda and its local suppliers include reduction of parts count, work steps, and/or improvement of ergonomics at assembly lines through integrating functions and components of modules. Furthermore Mazda has reinforced inter-firm relations with the local suppliers by integrating them at earlier stage of parts development. In order to deal with modularization of automotive parts, the study suggests that local suppliers should acquire system knowledge of modules, develop production technologies that functionally and structurally integrate components, improve logistic systems of assembled modules, and develop organizational capabilities to coordinate interfaces of product design and tasks across organizations.
- 広島大学大学院社会科学研究科附属地域経済システム研究センターの論文
- 2005-03-31
著者
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