ナッシュ＝ハーサニ交渉解的権力論の再開にむけて　－「ゲーム・闘争・意味」社会学試論/構造的に同一であるが、ナッシュ交渉解的に異なるゲーム－

概要

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「権力」と呼びうるようなある状況を記述する一つのモデルを提示し、その可能性の高さを主張する。いわゆる「報酬ー脅し」状況の再考からはじめる。一回交番ゲームでは脅しがきかないことを確認し、無限繰り返しゲームが暗黙に想定されていたと推測する。無限繰り返し化すると、脅し・服従の組み合わせも、均衡となる。しかし、フォーク定理により、均衡は非一意化する。この「絞り込み」のために、ナッシュ交渉解の議論を援用する。当事者とくに服従者の選好が連続的に変化するのに応じて、「ほぼ服従」「服従・反抗」に場合分けできる。この場合分けならびに移行におうじて、権力をめぐる「意味」づけがことなることを示唆する。このようなアプローチが生産的であることを主張する。最後に、本モデルの着眼法を拡張して「構造的には同一であるが、ナッシュ交渉解的には異なるゲーム」という枠組みを提起する。