血清G-CSF高値を示した腎盂原発扁平上皮癌の1例

概要

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67歳男。患者は左腰背部痛と尿混濁を主訴に近医を受診, 腎超音波検査ならびに腹部CTにて左腎盂腫瘍が疑われ, 著者らの施設へ紹介受診となった。所見ではWBC, SCC抗原, G-CSF高値が認められ, 尿細胞診はclass IIであった。腹部CTでは左腎盂内から腎実質へ浸潤する充実性腫瘍がみられ, 周囲脂肪織, 腸腰筋浸潤も疑われた。WBCは異常高値であったが血液疾患は否定的で, 感染兆候もなかった。以上より, 本症例は血清G-CSF高値を伴う左腎盂扁平上皮癌と診断され, 術前化学療法としてM-VAC療法が2コース施行されたが, 全身倦怠感, 食欲不振が続き, パクリタキセル+ネダプラチンが2クール追加施行された。その結果, SCC抗原とG-CSFはともに低下し, 術前までに腫瘍は著明に縮小した。以後, 左腎尿管全摘除術を施行したところ, 腫瘍の大部分は壊死に陥っていた。術後は血清SCC, G-CSF値は正常化し, 希望により後療法は行なわれなかったが, 初診から4年以上が経過する現在, 再発の兆候は認められていない。