人間関係形成能力を高めるクラスワイド・ピアサポートプログラムの試行的導入とその効果
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概要
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学級を単位としたピアサポートプログラム(Classwide Peer-Support Program:CPSP)を、小学校5年生2学級にそれぞれ5セッション(1セッション45分)試行的に導入し、その効果について検討した。効果測定は、河村(1999)が開発した「Q-U法」及び、「配慮のスキル」と「かかわりのスキル」からなる「ソーシャルスキル尺度」(河村2003)をpre-post testとして使用し、また、他者評定として教師による日常的な言動観察を実施した。導入したプログラムは、2学級とも「傾聴スキル」を数回行ったのち、各学級の実態に即して「問題解決スキル」「アサーションスキル」を導入した。「傾聴スキル」は、カウンセリングの基本的構成要素とされる「受容」「繰り返し」「明確化」「質問」「支持」の5つ(國分1979)を内容とする。各セッションへのプログラムの導入には、ソーシャルスキル教育で実施される手続き(相川ら1999)に従って、「ウォーミングアップ」「インストラクション」「モデリング」「リハーサル」「フィードバック」の順序で実施した。本プログラムの効果については、2学級とも「級友から認められている」といった質問項目からなる「承認得点」がCPSP導入後有意に増加したが、「学級生活においてつらいことがあるか」といった質問項目からなる「被侵害得点」については、学級生活満足群の中で若干変化したものの大きな変化は認められなかった。「友人関係」「学習意欲」「学級の雰囲気」「学校生活意欲」の項目については、CPSP導入前よりも有意な増加がみられた。「配慮のスキル」「かかわりのスキル」にも有意な増加がみられた。教師による他者評定(観察法)においてもターゲットとする児童に顕著な変化がみられた。
- 奈良教育大学教育学部附属教育実践総合センターの論文
- 2004-03-31
奈良教育大学教育学部附属教育実践総合センター | 論文
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