クン・サンの「きついジョーク」はいつ・どこで語られたのか
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
一般に狩猟採集民の社会は徹底した平等主義社会であると位置づけられている。リー(1979)が記載したクン・サンのハンターたちが交わす「きついジョーク」は、このことを端的に示す事例として多くの人類学者たちが紹介している。また、リーが調査地のクンたちへのクリスマス・プレゼントとして購入してきた大きな雄牛が、彼らによって酷評されてしまったというエピソードも、同様の例として引用される。私はムブティやアカのハンターたちが仲間の殺した獲物をけなす「きついジョーク」を聞いたことがなかった。そこで、クンはなぜそのようなジョークをあえて言うのかという疑問をもった。また、リーはハンターたち自身による「きついジョーク」と雄牛のエピソードのどちらを先に経験したのだろうか。本稿では、リー自身は雄牛の一件をどのように受けとめ、そこから何を理解するに至ったのか、さらに、ハンターたち自身が交わすとされる「きついジョーク」は実際にはいつ、どこで、どのような状況のもとでリーが知ることができたことなのかを、リーの叙述をもとに明らかにする。これらのことは、彼の著書の以下のような目的に直接に関わっているからである。「・・・また調査者たちがクンの生活に、そしてクンたちが調査者たちの生活に及ぼした相互のインパクトを跡づける。その目的はフィールドワークの経験なるものを(読者に)お伝えすることにある。」
- 2006-12-28
論文 | ランダム
- 体育の概念に関する基礎的研究(その2) : 体育の技術について
- 13. 一時的集団と一次的集団ら比較研究 : 集団構成に関して
- 63. 役割の変容について : 仮説設定の試み
- 体育の概念に関する基礎的研究(その1) : 体育における体験について
- 体育の場における集団機能の実証的研究(II) : 集団機能の変容について