わが国におけるフランス語圏心理学の導入とその受容について (2) : 戦後の児童精神医学と障害児教育への影響を中心に
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本論では,戦後の児童青年精神医学と障害児教育の領域を中心に,わが国におけるフランス語圏心理学の影響を検討した。フランスでは,Rousseau,J-J.の子どもへの関心,Itard,J.M.G.の人道主義的な医学的教育学的実践,ビセートル病院におけるSéguin,É.の障害児教育などを源流とする理論と実践があり今日に至っている。しかし,わが国の発達教育臨床研究においては導入の過程でそうした本来の伝統領域が切り離されてしまった傾向がある。フランス語圏心理学の発達教育臨床論では,病理的心理学から発達論的心理学へという展開,運動と精神の同一性と対立に関する見解,発達の正常と異常に関する異質性と同一性の思想などが重要である。日本,フランス共に戦後は英国圏心理学の影響が大きいのであるが,子どもの権利や社会的リハビリテーションを重視する観点は,フランスの発達教育臨床の科学と思想の伝統の中で息づくもので,まず,これを導入しなければならなかったのである。
- 2008-12-18
著者
関連論文
- わが国におけるフランス語圏心理学の導入とその受容について (2) : 戦後の児童精神医学と障害児教育への影響を中心に
- フランス心理学とともに歩んで:滝沢武久先生に聞く
- 日本における教育心理学の戦前と戦後
- 1 現代社会における子どもの「自己」の発達 : 教育心理学的な支援のあり方をめぐって(準備委員会企画シンポジウム)
- 私の教育学研究とフランス語圏心理学・教育学--堀尾輝久先生に聞く
- 児童期から青年期への移行 : 発達の連続と非連続の観点から(児童期と青年期の発達的な連結と移行)
- 今日の人間発達科学と発達教育臨床の研究-「城戸構想」から「子ども発達臨床研究センター」へ-
- 成長・発達の困難と「自己」の形成 : 軽度発達障害・子ども虐待の検討から(現代社会における子どもの自己の発達 : 教育心理学的な支援のあり方をめぐって)
- わが国におけるフランス語圏心理学の導入とその受容について:教育臨床研究への影響とその問題点
- 成長・発達の困難に見る「自己」の問題(現代社会における子どもの「自己」の発達-教育心理学的な支援のあり方をめぐって-,準備委員会企画シンポジウム 1)
- わが国におけるフランス語圏心理学の導入とその受容について--教育臨床研究への影響とその問題点
- 発達保障論をめぐる理論的問題(2):ワロンの発達・教育の思想と発達保障
- ワロンの臨床心理学 : テーマ(3)
- 成長・発達過程における危機的事態からの回復と自己形成:障害者47例の臨床的検討
- 成長・発達過程における危機的事態からの回復と自己形成--障害者47例の臨床的検討
- 青年期学習障害とその障害発達の展望 (学習障害とその周辺)
- 地域に生きる発達障害者の発達・学習支援ネットワーク : 札幌とつながる農村部・長沼町の"Commons" に注目して
- PA002 わが国におけるフランス語圏心理学の導入とその受容について : 教育臨床への影響とその問題点(ポスター発表A,研究発表)