21世紀初頭におけるグローバルM&Aの構図(上)

概要

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米国第五次合併運動に端を発し,欧州全体へ広がり,第三世界・旧社会主義国を引き込んだ新自由主義的グローバルM&A(買収合併)は,世界産業再編に向けた「国境を越えるM&A」となって,「独り勝ち」の超大型国際寡占体=スーパー・メジャーズを創出している。グローバル資本は,スーパー・メジャーズと呼ばれる「世界一企業」による支配構造に支えられるようになった。旧スタンダード石油や旧AT&Tがグローバル資本主義の主柱として復活し,米国主導のグローバリゼーションが進む。同時に統合欧州にも域内合併による世界一企業が構築され,米国に対抗するEU共同のコーポレート覇権を追求し始めた。「米国の新たな挑戦」と日本や中国のグローバル競争力の急進に対抗すべく,欧州多国籍企業・金融資本はロシア・中国・インド・ブラジル・南アフリカなど第三世界の超大国の巨大企業(財閥企業や国営資源資本も含む)とのM&A(買収・合併・提携)に乗り出している。米国主導型のグローバリゼーションに対するEUの挑戦が始まった。同時に,過剰生産と過剰蓄積の下で国境を越えて自由に展開する国際金融の主導性が強まっている。世界産業・企業再編・集中分化への戦略合併がメガバンクや巨大ヘッジ・ファンドの投機的利益追求に活用され,国境を越えるM&A の戦略目標にねじれが生じバブル崩壊の兆しが見える。

著者

奥村皓一
関東学院大学経済学部(前)

21世紀初頭におけるグローバルM&Aの構図(上)

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