3. 動物の行動を制御する化学シグナルと受容体(<総説特集I>山崎邦郎先生メモリアルシンポジウム「化学シグナルと嗅覚行動および脳機能」)
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概要
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動物自らが放つ匂い「体臭」のひとつであるムスコンは、ジャコウジカの臭腺から見出され、特徴的な大環状ケトン構造を有する。ムスコンは、様々な動物種に対してフェロモン様の作用を有し、またその類まれで官能的な香気ゆえに香粧品に広く用いられる。最近筆者らは、ムスコンが他の匂い物質と比較して、極めて少数の嗅覚受容体で受容されること、またその匂い情報が嗅覚一次中枢の嗅球の限局された領域に入力されることを明らかにした。本稿では、第47回日本味と匂学会の山崎邦郎先生メモリアムシンポジウムで発表させていただいた上記内容を中心に、永らく未知であったムスク系香料の受容メカニズムについて最新の知見を交えて報告させていただく。
著者
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東原 和成
東京大学大学院新領域創成科学研究科
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白須 未香
東京大学大学院新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻分子認識化学分野
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白須 未香
東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命化学専攻:ERATO東原化学感覚シグナルプロジェクト
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