監獄に住まう乳幼児たち : 明治期における「携帯乳児」の実態
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概要
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「携帯乳児」とは,監獄に収監された母親に連れられてくる乳幼児,もしくは女性受刑者が獄内で出産し監獄内で養育する乳幼児の呼称である.日本においてこのような携帯乳児の制度は明治期に確立した.本研究では,明治期の監獄行政に関わる資料などを用いて携帯乳児に関する法令の変遷を追い,その法令の下で母とともに監獄の紀律のなかで暮らす子どもの実態について検討した.さらに獄内出産や乳幼児の発達の問題,彼らが厳しい差別と排斥にさらされている状況などについても検討を加えている.一時は年間2,000人以上が収監されていた携帯乳児も次第に制限されていったが,1900年に監獄が司法省に移管されて以降は,監獄と慈善・社会事業との連携が弱まるなかで携帯乳児問題に関する議論もほとんどみられなくなっていった.このような経緯から,携帯乳児の問題は司法行政のなかに取り残され,現行法にも携帯乳児規定が残されるという事態を招いた.
- 2014-02-28
著者
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