監獄関係者たちの感化教育論 : 『監獄雑誌』上の議論を焦点として
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概要
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感化教育は,日本の児童福祉の原形のひとつとされ,現在の児童自立支援施設の実践へとつながっている.このような非行・問題行動を伴う子どもへの福祉的援助の必要性は,明治期における感化教育についての議論から生まれてきた.本稿では,当時の有力学術誌『監獄雑誌』(1889年11月〜1899年6月)を分析対象とし,当時の監獄関係者による感化教育をめぐる議論を検討した.その方向性は監獄という劣悪な環境から子どもたちを引き離し,感化院という施設で保護・教育的援助を行うというものであった.しかし,彼らの関心は監獄そのものの改良・近代化にも注がれていたため,議論が活発になされたとはいえない.また,監獄関係者らが中心となって感化教育の法制化を進めたことは,当初の感化法が保護・福祉法というよりも,「治安立法」としてのマイナスの性質を色濃く持ち合わせる結果をもたらした.
- 2008-02-29
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