高感度エネルギー分散型蛍光X線分析装置による農産物中カドミウム濃度の測定とスクリーニング分析への適用
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概要
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高感度エネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDXRF)を用いて農産物中のCd濃度の迅速分析を試みた.検出限界値は1,200秒の測定時間の場合,0.07mg kg^<-1>であった.玄米粉末を用いて作成したCd検量線は直線性を示し,EDXRFによる玄米標準試料の分析結果は,認証値の範囲内であった.また,分析値の繰返し精度および真度を評価した結果は良好であり,分析法の妥当性が認められた.異なるCd濃度(0.05〜2.42mg kg^<-1>)の玄米10点をEDXRFで分析した結果は,原子吸光光度法の分析値とよく一致した.更に,大豆,小麦,オクラ,シュンギク,さといも,キャベツ中のCd濃度もコメのCd検量線を用いて分析可能であった.コメ中のCd濃度の基準値超過の有無を判断するのに要する時間は,以前の報告と比較し大幅に短縮された.例えば,0.1mg kg^<-1>の玄米では71秒,0.2mg kg^<-1>の玄米では158秒,0.3mg kg^<-1>の玄米では619秒で判定可能であった.更に,未粉砕試料と粉砕試料の分析値はよく一致することから,未粉砕試料によるスクリーニング分析の有効性が明らかとなった.これらの結果より,EDXRFを用いたコメ中のCd濃度の迅速分析は,高Cd含有米の市場流通を防止するために実用的であることが示唆された.
- 一般社団法人日本土壌肥料学会の論文
- 2013-10-05
著者
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