地域社会における児童虐待の危機介入に関する一考察 : 関係機関へのアンケート調査の結果から
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概要
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「児童虐待の防止等に関する法律」では、児童虐待の防止と解決のためには地域社会の子どもと接する機関の連携が不可欠であるという認識が示されている。本稿の目的は、虐待防止に向けて地域の関係機関が機能するにはどのような条件が整う必要があるかについて考察することにある。島根県内の保育士、看護婦・士を対象にしたアンケート調査の結果、保育士は、看護婦・士に比して、地域の虐待問題への介入により積極的な態度を示すことが分かった。属性や規範意識をコントールしたうえでも、保育士であるということは積極的介入を促す効果をもっていることが示された。これは、調査票に設けた自由記述欄における保育士の意見の分析によれば、保育士が職場においてさまざまな親や子どもと緊密な関係を築くことによってかれらに対して生じる共感が拡張されることに起因するということが示唆された。保育士におけるこれらの知見は、虐待防止にとって効果的な関係機関のあり方を規定する法や政策を議論するうえで重要なポイントとなるだろう。
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