法廷における尋問者と証人のコミュニケーション : 情報の提供者は誰なのか(<特集>市民と法律家のコミュニケーション)
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概要
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本稿では、法廷における尋問者と証人のコミュニケーションについて検討することを通し、心理学の立場から尋問の場について考察した。公判廷における尋問プロセスは、一般に、問いと答えの連鎖として捉えられる。そこでは、問う側の尋問者による尋問コントロールが暗黙のうちに想定されている。しかしながら、コミュニケーション分析の手法を用い、共犯者である証人と尋問者のやり取りを分析した結果、本来間われる側の被尋問者である証人が、答えと問いの連鎖により尋問をコントロールしていた可能性が示唆された。また、そうした際に、証人は自ら情報を提供することなく、むしろ、尋問者が情報を提供することで尋問の発話連鎖が進展していることが示された。取調べや尋問においては情報の発信源について十分な考慮が必要であり、そのためには、取調べや尋問の聴取方法、記録方法、および、分析方法について一層の探究が望まれる。
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