3歳児の子ども集団の「規範意識の芽生え」における保育者の役割 : 非言語的応答関係による「居場所」生成(第1部 自由論文)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究の目的は,非言語的応答関係に注目しながら,3歳児の規範意識芽生えとは何か,また子ども集団の規範意識の生成過程における保育者の役割は何かを明らかにすることである。そのために,保育者Aの保育実践を1年間観察し,ビデオ記録をした。また,保育者の記述した保育記録を収集した。これらの記録から事例を記述し,「身体的同調」及び「ノリ」の概念を用いて分析を行った。その結果,第一に保育者は「身体的同調」が6つの時期を経て子ども集団に広がるようにしていた。そして,最終的には「身体的同調」が積み重ねられ子ども集団の行動を規定する「ノリ」となり,子どもたちがお互いを肯定的に受け止めあう「居場所」が生成する過程が見出された。また,「居場所」では,子どもたちが自発的に秩序ある行動を取るようになる様子が示された。第二に,「居場所」生成の条件として,保育者が子どもを肯定的に捉える態度が必要と考えられた。その肯定的な態度が「身体的同調」によって子ども同士の間に広がり,「居場所」生成が可能となることが指摘された。これらのことから,幼児教育における「幼児期の規範意識の芽生え」とは,子どもの「居場所」生成を意味すると考えられた。
- 2013-12-25
著者
-
松永 愛子
日本女子大学人間生活学研究科人間発達学専攻
-
松永 愛子
日本女子大学家政学研究科児童学専攻
-
大岩 みちの
岡崎女子大学幼児教育学
-
松永 愛子
目白大学児童学
-
岸本 美紀
岡崎女子大学幼児教育学
-
山田 悠莉
岡崎女子短期大学身体表現
関連論文
- 保育内容を実践に生かす取組としての幼児教育祭 その2 : 保育内容の理解を深め、実践につなげるために
- 児童相談所によって記述された事例にみる「児童虐待」の構成過程 : 解釈の前提としての専門性
- 岡崎女子短期大学の教育力と地域貢献のあり方に関する調査研究--幼児教育学科、初等教育学科卒業生に対する意識調査の結果から
- 保育内容を実践に生かす取り組みとしての幼児教育祭3 : 効果的なチーム・ティーチングを行うために
- 舞台発表を通しての「気づき」(その2) : 保育内容を意識することをめざして
- 「児童文化研究部はとぽっぽ」による「第38回定期公演はとぽっぽフェスティバル」に関する活動報告
- 「幼児教育祭」をめぐる取り組みの教育学的意義の検討--子どもの「主体性」の基盤を育てる社会の再構成
- 地域子育て支援センターの役割について : 状況の多重性の中での「居場所」創出の場として(第1部 自由論文)
- 地域子育て支援センターにおける「居場所」創出の必要性について : 現代社会から疎外された人の主体性を育む支援として
- 「A市子育て支援センター」の活動に関する一考察 : 子育ての「労力」を喜びに転換する場所として
- 037 子育てにとって「地域子育て支援センター」は何ができるのか : 子育ての魅力に気付くための「地域福祉」再構成のための試み(口頭発表I(家庭教育・子育て支援1))
- 表現する者の養成のために : 保育内容「表現」の授業への取り組みから
- 「身体表現」活動における居場所創出の可能性 : 身体表現と「保育」の関連に注目して
- 3歳児の規範意識の生成過程における保育者の役割 : 身体的同調を生成する環境構成
- 3歳児の規範意識生成過程における保育者の「言葉」の役割
- 3歳児の子ども集団の「規範意識の芽生え」における保育者の役割 : 非言語的応答関係による「居場所」生成
- 3歳児の子ども集団の「規範意識の芽生え」における保育者の役割 : 非言語的応答関係による「居場所」生成(第1部 自由論文)
- 「教職実践演習(幼稚園)」実践報告 ・ 共通理解の必要性 : 相互理解による活動の変化について