ビーグル犬におけるドーパミントランスポーター遺伝子の一塩基多型と注意欠陥多動性障害の関連
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概要
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注意欠陥多動性障害(ADHD)は多動性、不注意、衝動性により特徴づけられる主要な精神疾患である。この疾患は犬においても確認されている。この疾患に対して頻繁に使用されるメチルフェニデートは、ドーパミントランスポーターに作用して遊離ドーパミン量を増加させるため、ドーパミントランスポーターのADHD発症に対する影響が注目されている。ドーパミンはADHDにおいて重要な役割を担っているため、22頭のビーグル犬を対象にドーパミントランスポーターの遺伝子であるSLC6A3のDNA配列を決定した。ADHDの評価については、行動評価アンケートの記入を飼育者に依頼した。SLC6A3遺伝子の4ヶ所で多型が確認された。A157Tの遺伝子型がAAの犬、G762Aの遺伝子型がGGの犬、および2歳以下の犬は注意欠陥の点数が高かった。また、2歳以下の犬は自発的活動性と衝動性の点数も高かった。これらの結果は、犬のADHDとドーパミントランスポーターに関連があることを示唆する。しかし、どのような機序によるものかを明らかにするためには、さらなる研究が必要である。
- 2013-09-25
著者
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佐藤 俊幸
東京農工大・動物行動
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小山 哲史
東京農工大学農学部
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倉地 卓将
東京農工大学農学部
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村瀬 香織
東京大学大学院農学生命科学研究科
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西出 雄大
農業生物資源研究所
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佐藤 俊幸
東京農工大学農学部
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佐藤 俊幸
東京農工大
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倉地 卓将
東京農工大
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