老人保健施設における頻回な要求行動を示す高齢者に対する行動療法:刺激統制法とディファレンシャルアテンション法(DA法)に基づく環境変容の効果(事例研究)
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概要
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施設に入所している要求行動の過剰な高齢者に対して,要求行動の減少と好ましい社会的行動の増加を目標として,刺激統制法とディファレンシャルアテンション法に基づく環境調整を行った。刺激統制法では,施設ホール内の家具の一部を変更し,社会的行動に変化がみられるかを試みた。ディファレンシャルアテンション法では,対象者のポジティブな行動に対しては賞賛や身体的接触などの社会的強化子を与えて強化しながら,ネガティブな行動に対しては対応を控えた。刺激統制法,ディファレンシャルアテンション法の両方の手続きにおいて対象者の不適切な要求行動の減少が認められた。後半,スタッフの強化行動が次第に弱くなってきた為,スーパーバイザーによる結果のフィードバックを行った。フィードバック後,強化手続きは一時的には改善されたが,長く維持されるまでには至らなかった。過剰な要求行動などの高齢者の問題行動においては,他者の接触をはじめとする生活環境による影響が強く,そうした環境の改善が問題行動の低減に有効であることが確認できた。また,強化子にスタッフのかかわり行動を用いる場合,強化を与える側のスタッフの行動を支持することが重要であると推察された。
- 日本行動療法学会の論文
- 1998-03-31
著者
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