登熟良好な新規極穂重型イネ遺伝子型を開発する試み
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概要
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極穂重型イネ品種の登熟を向上させることが示唆されているイネ遺伝子座OsAGPS2およびOsSUT1上の遺伝子AS2-2およびSUT1-2の効果を検証する一環として,上記遺伝子をもち,かつ従来品種の穎花数/穂を超える極穂重型系統をF_5までの定方向選抜によって開発して,これらの登熟程度を検討した.各世代における選抜効率を実現遺伝率として評価したところ,穂関連形質では交雑後の分離初期世代で優性効果が優勢であることが示唆された.F_6において穎花数/穂について選抜した系統と無選抜系統を,良登熟型遺伝子をもつ品種と非良登熟型遺伝子をもつ品種とともに栽培し,穎花数/穂および良登熟籾歩合を比較した.その結果,選抜系統は他群と同等もしくはより多い穎花数/穂をもち,最高値で300穎花/穂以上を記録したものの,非良登熟型遺伝子を持つ品種よりも高い良登熟籾歩合を示すことが分かり,本良登熟型遺伝子は非常に多い穎花数/穂をもつ遺伝子型においても登熟向上に有用であることが分かった.一方,選抜系統の良登熟籾歩合は良登熟型遺伝子をもつ品種よりもやや低く,ソース能等をさらに改良する必要性も指摘された.
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