イネ極穂重型品種間にみられる穂内の維管束分枝体系に関する変異
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概要
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極穂重型イネ品種間における登熟程度と穂内の維管束分枝体系との関係を検討するため、登熟程度を異にする極穂重型4品種と普通型品種をもちいて、それらの穂軸から1次枝梗への、また1次枝梗から2次枝梗への分岐点における大維管束の分枝を組織学的に観察した。その結果、登熟程度の高い極穂重型2品種は、登熟程度の低い1品種に比べてより多数の大維管束を穂基部側の穂軸に確保し、それらを穂基部においてより多く分枝して1次枝梗へとより多く走向させていることが分かった。このように、これらの2極穂重型品種は、1次枝梗内の大維管束数を増加することでより多くの同化産物をこれら1次枝梗に沿って着生する穎花へと転流させることで、穎花の登熟程度を高めていることが示唆された。一方、同じく高い登熟程度を示す他の1極穂重型品種は、このような大維管束の分枝体系の特徴を示さなかった。この極穂重型品種は、通導経路ではなく末端の穎花シンク活性を高めて良好な登熟程度を示すことが推察された。
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