妊娠高血圧症候群,特発性血小板減少性紫斑病合併妊娠にて分娩後,早発卵巣不全に陥り,その後免疫不全症を発症した1例

概要

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【緒言】早発卵巣不全(premature ovarian failure : POF)は,その原因は不明であり,その後の経過も改善しない場合が多い。長い経過を経て, POFのフォローが内科的難病の診断に役立ったと思われる症例を経験した。【症例】症例は, 31歳,妊娠28週時,妊娠高血圧症候群(PIH),特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の診断で緊急搬送となるも,翌日胎児死亡となった。約1年半後自然妊娠。てんかんの発作頻回で管理入院となり,さらに全前置胎盤の妊娠管理中,再度ITP発症。妊娠31週時, ITPの増悪,肝機能障害にて緊急帝王切開,翌日子宮動脈塞栓術施行。出産後3年半経過し,無月経,挙児希望にて当科再診。POFを疑いつつも検査成績の変動が大きく,診断をつけ難い状況であった。一方,「風邪をひきやすく重症化しやすい」という訴えがあり,内科コンサルトし,分類不能型免疫不全症の診断となった。現在は週1回の免疫グロブリン療法を受けている。【考察】本症例のPOFは,子宮動脈塞栓術が誘因となった可能性は否定できないが, PIH, ITP, POF,免疫不全症の間には自己免疫的な関連が考えられる。【結語】妊娠,分娩,産後を通して,内分泌代謝的側面のみならず,母性衛生の側面からも継続的なケアの必要性を再認識した。
2013-07-00