福島原子力発電所事故対応としてのリスクコミュニケーションに関する研究
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概要
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本研究では,筆者が関わった福島原子力発電所事故対応としてのリスクコミュニケーション事例を整理すること,また,今後のリスクコミュニケーションにおいて提供される情報の内容を明らかにし,そのための媒体を開発することの3つを報告する.事例は,福島県内で開催された住民対象説明会及び栃木県が開催した有識者会議である.提供されるべき情報の内容を明らかにするために,全国の食品衛生監視員31名を対象としてデルファイ法による質問紙調査を実施した.媒体開発は,ゲーミングシミュレーションを利用した.事例は,公開されている資料を用い,調査は同意が得られた者のみを対象とした.食品に含まれる放射性物質に関して消費者が学ぶべき内容は,第1位「ゼロリスクは不可能であること」(84点),第2位「放射性物質とそれ以外のリスク(喫煙や過度の飲酒など)」(70点)であった.媒体は,「カルテット」(カードゲーム)を採用し,「日常生活」「放射性物質」「測定」等の内容となった.事例では,住民からの質問は,リスクの個人選択に関することが少なくなく,ホームページなどで回答が見つからないことが多いことが考えられた.これは,質問紙調査結果で抽出されたように,国民個々人が様々なリスクに対する考え方を身に付けていかなければ解決が困難であるように考えられた.リスクに関して,専門家のヒューマンパワー不足等から,自治体職員による情報提供はやむを得ず,そのためリスクコミュニケーショントレーニングは欠かせない.カードゲームは,今後評価をし,情報の受け手に配慮した内容に改訂していかなければならない.
- 2013-04-00
著者
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