森林組合と地域協業の展開 : 宮城県登米町森林組合を事例対象として
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概要
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近年の山村住民の雇用と暮らしの維持が深刻化する中で,木材生産物に限定しない多様な地域資源による地場産業の確立が地域社会発展の原動力となることから重要である。本論文では,宮城県登米町森林組合を事例対象として聞き取り調査をもとに分析した。その結果,登米町森林組合は,小規模経営の優位性の上で地域の生産者へ接近し,1970年代から地域の生産組織の組織化と協業によって,1994年には特産事業を創設し,身近な地域資源による地場産業の確立に寄与してきたことが明らかになった。登米町森林組合の生産組織の形質は,非木材生産物も含めた多様な事業展開にもとづき,林業労働力確保としての垂直的拡大だけではなく,1970年代以降は水平的拡大となって発現したといえる。今後は,生産者,労働者が自主管理する生産組合として,経営参画や待遇面での保障等を図ることなどが課題であると考えられた。
- 東北森林科学会の論文
- 2007-09-30