農山村地域と森林組合の研究 : 秋田県秋ノ宮森林組合の事例をもとに
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概要
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秋田県秋ノ宮森林組合は1980年代前半の事業停滞のなかで,1985(昭和60)年に加工場を再建し,ナメコだけを扱う従来の加工事業から90種類もの農林水産物を原材料として利用し,200種類におよぶ加工品を直営で製造する加工事業に事業再編を行った。そして再編から現在に至るまでの12年間で事業量を飛躍的に拡大・維持してきた。本稿では,秋ノ宮森林組合における加工事業の展開とその事業に携わる雇用労働者の実態について,森林組合資料及び聞き取り調査の結果をもとに分析し,加工事業を拡大・維持することができた要因と秋ノ宮森林組合の加工事業の活動意義について考察した。結果として,秋ノ宮森林組合は,第1に以前の木材やナメコ生産に傾斜した事業展開を見直し,利用する原料となる資源の対象範囲を広げたこと。第2に加工場の労働力が一定程度内部固定化された1つの要因として,生産組織を労働者を主体とした労働者協同組合的な性格に近づけたこと。第3に加工品の販売活動を関東地方を中心とした都市部において積極的に実施し,販路を拡大してきたこと,が考えられた。
- 2000-03-10