ナメコ(Pholiota nameko)菌株の木粉培地による直接凍結保存法
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概要
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ナメコ菌株の安定的かつ容易な保存方法を検討するために,市販種菌を木粉培地に接種し,1ヶ月間培養した培地を直接-85℃で1年間保存した。解凍後,保存ビン4部位の菌糸をPDA平面培地に接種した結果,全ての菌糸が再生した。再生菌糸4株の菌糸伸長速度は,4℃で保存した菌株と有意な差が認められず,扁平な菌叢部の出現率も4℃で保存した菌株より低かった-85℃保存ビン上部からの再生菌糸2株は,子実体収穫時期が保存前より3〜6日遅延したが,収量の低下は認められなかった。ビン下部の2株は,収穫時期,収量ともに変化が認められなかった。培養木粉培地を4℃で保存した菌株は,子実体収穫時期が10〜11日遅延し,収量が15〜23%低下した。寒天培地で継代し4℃で保存した菌株は,収穫時期が4日遅延したが,収量の低下は認められなかった。しかし,2ヶ月後に実施した寒天培地継代保存菌株の再試験では,収穫時期が11日遅延し収量が74%低下した。このように,供試菌株は従来の保存方法では栽培特性や菌叢が不安定であった。一方,木粉培地を直接凍結する保存法は,栽培特性と菌叢の安定性が保たれたことから,ナメコ種菌の実用的保存方法と判断された。
- 1998-02-25
著者
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