スギ花粉におけるペクチン分解酵素(Cry j 2)の花粉管伸長に果たす役割
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概要
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スギ花粉症の主要アレルゲンであるCry j 2はそのペクチン分解酵素活性によって周辺組織を分解し,花粉の発芽や花粉管伸長に関与すると推測されている.本研究では花粉粒と花粉管およびその通路となる珠心におけるCry j 2とその基質であるペクチンの分布についてin vivoでの解析を行った.その結果,Cry j 2は受粉直後では花粉内壁近傍に花粉管伸長後は花粉管の細胞質,花粉管壁,花粉管と接した中層および珠心細胞の細胞壁や細胞質で観察された.一方,脱エステル化ペクチンは珠心細胞の細胞壁に,メチルエステル化ペクチンは細胞壁と中層に分布した.以上の結果から花粉管の細胞質で合成されたCry j 2は花粉管壁を経て細胞外に分泌されること,分泌されたCry j 2は珠心の細胞壁や中層に存在するペクチンを分解することで細胞間接着を弱め,珠心組織を軟化し,花粉管の伸長を容易にすることが示唆された.また,Cry j 2はin vitroにおいて花粉管壁には出現しないことから,その分泌には受粉によって生じる花粉と胚珠との相互作用が必要であることが示唆された.
- 2012-12-31
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