ヨハネ福音書8章の救済思想 : 物語批評の視点から
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概要
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論文(Article)ヨハネ福音書8章に見られる救済思想について物語批評の立場から考察した。特にレトリック・状況設定・登場人物・視点・筋の5点から本章を検討し、その特徴を探った。8章における救いに関する表現は「自由」「解放」がキーワードとなっており、繰り返し構造によって強調されている。またユダヤ教を基礎としてイエスを説明している。救いの対象は無名のユダヤ人であり、彼らは一度は信じるものの、結局はイエスへの信仰を拒否する。8章がもつ読者に対する効果は、(1)イエスとの対話におけるユダヤ人たちの疑問は読者の疑問を反映しており、対話によって疑問を解いていく形をとっていること、(2)ユダヤ人たちがイエスを受容し、のちに拒否するという過程は、読者自身が同じ過程を辿ることを促す一種の疑似体験効果をもつこと、である。In this article, we treated the soteriology shown in John 8 from the perspective of narrative criticism. In particular, the chapter was reviewed concerning rhetoric, settings, character, point of view and plot. Key expressions used in John 8 were `liberty' and `redemption', and they were emphasized by their repetition. John 8 explains Jesus on the basis of Judaism. The objects of salvation are anonymous Jews, who once believed, but finally rejected Jesus. The effects of John 8 on its readers are: (1) the Jews' doubts in their conversations with Jesus reflect the doubts of readers, and these doubts are resolved through dialogue with him; and (2) the process of the Jews' first accepting Jesus and then refusing him has the effect of prompting the reader to go through the same process.
- 同志社大学の論文
- 2011-06-00
著者
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