都道府県と市区町村との連携による調査の実施とデータ活用
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概要
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本稿では,公衆栄養活動の質的向上を目指すうえで求められる,都道府県(主管部局・保健所)と市区町村との連携による各種調査の実施とデータ活用の必要性について,既存の調査結果等を参考としながら,いくつかの視点により整理・提案を試みた.地域保健法の施行以降,対人業務は市町村の役割となり,都道府県型の保健所では,地域住民に対する個別対応を行うことはなく,単独で管轄地域内での健康・栄養問題を調査することは難しい状況にある.一方,市町村においては,業務量に比して栄養士の配置が少ないため,客観的なデータを十分に把握・評価する時間的なゆとりがない.また,一部ではデータを収集したり評価するスキルが十分ではない者も散見される.保健所管理栄養士と市町村行政栄養士が連携することで,互いの強みと弱みを補完し合いながら,既存のデータを活用したり,通常の行政対応の中に新たな調査を入れ込むことによって,地域における健康・栄養問題を客観的に把握することが可能となり,マネージメントサイクルに基づく公衆栄養活動に結びつくものと考察される.市町村に勤務する行政栄養士の80%以上は,保健所管理栄養士との連携強化や業務支援に期待感をもっている.特に保健所管理栄養士と間で,意見交換,勉強会,研修会などを強化して,互いの理解を深め,スキルアップにつなげることを望んでいる者が多数認められている.
- 2012-10-00