ユーラシアの言語における格及びその他の文法特徴の多様性について : 言語構造の世界地図(WALS)を使用して
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本論文では,「言語構造の世界地図」(The World Atlas of Language Structures (WALS), Haspelmath, et al. (Eds.), 2005)を利用して,ユーラシア地域の様々な言語における,格の数や語順等の文法的特徴について概観した.加えて,WALSを使用した文法情報の収集と言語類型論の手法を利用することで,ユーラシア言語の多様性を視覚的に観察する一研究を紹介した.ユーラシア地域の言語は基本的に格を多く持つ傾向があり,それらの格の多様性として,対格言語と能格言語の相違は存在するが,大まかに地域内で共通の特徴がある.また,ユーラシアの言語はSOV語順及び指示詞の2種類使い分け(「この」と「あの」)の傾向を持つ.WALSに含まれるいくつかの文法情報を整理し,その結果を視覚化することで,典型的なユーラシア言語とはどのようなものであるかを考察した.その結果,言語の特徴がユーラシア地域と欧州地域で明確に分かれることが判明し,その境界上にフィン=ウゴル語が存在する.
- 社会言語科学会の論文
- 2007-09-30
著者
関連論文
- クレオールの社会言語学的考察 : 特にトクピシンとビスラマの状況
- 比較と類似を表す構文に関する対照研究--日本語,英語とトクピシン
- 格の多様性と多機能性--特に複合格の機能的動機づけ
- グナ語--簡単な文法スケッチ
- ハンガリー語の接続詞mintと対応する日本語の比較,様態表現の対照研究
- ハンガリー語の接続詞mintの形式と意味について:mint,X+mintとmint+X
- ハンガリー語の過去分詞形を使用した受動:「太郎によって殺された花子」型の名詞句
- ハンガリー語の可能接辞による受動表現について
- ハンガリー語の三人称複数形一致を使用する非人称構文について
- フィンランド語の様格について : 様格の意味と様格形が語順に現れる位置
- ハンガリー語の再帰, 中間構文における受動の含意 : 他動性と関連して
- [社会言語科学会]第22回研究大会ワークショップ フィールド言語学から日本の社会言語学研究を考えよう
- ユーラシアの言語における格及びその他の文法特徴の多様性について--言語構造の世界地図(WALS)を使用して
- 格の多様性について--言語構造のワールドアトラス(WALS)を使用して
- ハンガリー語の様格に見られる副詞的用法について
- ハンガリー語の他動詞からなる結果相構文について
- ハンガリー語の使役構文の分析とその文法関係について
- Contact-induced language change and grammaticalization: a case study in Papua New Guinea
- Functional study on adverbial cases and adpositions in Finno-Ugric and Indo-European
- Word order positions of the Finno-Ugric essive case forms (特集 クリティックの諸相)
- How does Hungarian express a passive?: A synchronic-functional view
- パプアニューギニア,マダンの町の多言語状態 : 社会言語学的観点から
- 第22回研究大会ワークショップ : フィールド言語学から日本の社会言語学研究を考えよう
- Functional Study on Adverbial Cases and Adpositions in Finno-Ugric and Indo-European
- Contact-induced Language Change and Grammaticalization:A Case Study in Papua New Guinea
- ユーラシアの言語における格及びその他の文法特徴の多様性について : 言語構造の世界地図(WALS)を使用して