競合と共棲 : 在日韓国・朝鮮人と被差別部落の関係性をめぐって(<特集II>エスニシティの社会学1992-2002 : 明日への課題)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
日本人、日本社会と在日韓国・朝鮮人の民族関係を検討する際、被差別部落の問題を避けることはできない。戦前、多数の朝鮮人が部落およびその周辺地域に流入、定着したことが知られており、職業、地域、学校などさまざまな場面で両者が近接して生活することになった。本論文では、特定地域での両者の関係史をたどり、他地区の事例も踏まえつつ両者の関係性を整理した。日本社会の差別性のゆえに職住において両者は接近せざるを得ない構造的な与件があり、職業において競合する立場に置かれることにもなる。差別的な意識を双方が抱いていることも事実であるが、日常生活場面では良好な関係が成立していたことを示す記録が多数残されている。貧困、生活苦のなかでの密接な関わりは、民族関係成立の条件を考える上で一つの手がかりとなるだろう。また、マイノリティ集団を相互に比較検討する視点もさまざまな知見をもたらすはずである。それぞれの集団に課せられた障壁=バリアのあり方、その認識と対応のあり方を比較によって検討することは、それぞれの集団の特性を浮かび上がらせるだけではなく、日本社会の差別的構造をも明らかにするはずである。
- 関西社会学会の論文
- 2003-05-24
著者
関連論文
- 貧困・生活不安定層における子どもから大人への移行過程とその変容 (課題研究 貧困と犯罪・非行)
- 貧困・生活不安定層における子どもから大人への移行過程とその変容(貧困と犯罪・非行)
- 学力の階層間格差を克服する学校効果2(階層再生産と教育)
- 学力の階層間格差を克服する学校効果(学力格差と社会構造)
- 阪神・淡路大震災時の避難所となった学校における教師の研究
- I 子どもの貧困と教育(2) : 学校で何ができるか(課題研究報告)
- 貧困・生活不安定層における子ども期の生活と移行過程(子どもの貧困と教育,課題研究2,課題研究報告)
- 堀有喜衣[編], 『フリーターに滞留する若者たち』, B6版, 190頁, 本体2,000円, 勁草書房, 2007年1月刊
- 「フリーター」「ニート」という言葉を用いることの問題性(I-1部会 青少年,研究発表I,一般研究報告)
- 遊び型ライフスタイルと不平等の再生産(青少年と若者文化)
- 10年後の「南中」 : 教師文化における変革の可能性(IV-2部会 学校(4))
- 異文化理解の手段として
- 低階層集住地域における教育・地位達成 : 「文化住宅街」の地域形成と人間形成(1)(II-5部会 社会構造と教育(1))
- 3. スクールソーシャルワークの可能性 : 教育と福祉の協働を目指して(課題研究1 子どもの貧困と教育(2)-学校で何ができるか-,課題研究報告)
- 1. その後の「排除される若者たち」 : 連合ワーキングプア調査の知見から貧困・生活不安定層の20代〜40代の経験をたどる(III-8部会 社会構造と教育(1),研究発表III,一般研究報告)
- 競合と共棲 : 在日韓国・朝鮮人と被差別部落の関係性をめぐって(エスニシティの社会学1992-2002 : 明日への課題)