社会学の経営(<特集I>Teaching Sociology : 社会学テキストをめぐって)
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概要
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「社会学の経営」が問われている、少子化によって受験生が減少し、大学の社会学部ないし社会学科の学生が質量ともに低下する傾向にあり、文字通り「社会学の経営」の危機が予想されるが、それだけではない。社会学という学問それ自体の経営が不十分であったことがもたらした、「社会学の経営」の危機が今ここにあるためだ。そのような文脈で、社会学入門書としての社会学テキストに何が求められているのか。本稿では、それが体系性と実践性であることを提起する。社会学の体系性と実践性の内実を十分に明示してこれなかったことこそ、「社会学の経営」が努力不足であった証である。社会学者の専門的能力こそが、実は厳しく問われていると言えよう。入門書は学生の興味を引く内容を平易に述べるのが適切であるとの見解もあるが、増殖しつつある多種多様な知識の集合体としての社会学を学ぶ人に示されるべきは、道に迷わずに進むことを可能にする社会学の簡明な全体像であり、そこには社会学の体系性が明示されなければならない。そして、体系性の論点を究明するなかで、社会学の実践性も明らかにされるが、さらに必要なのは、社会学の学習の焦点となる根本的な実践性を示すことである。社会学的分析の実践を通して習得しうる能力を明確化し、学習者の意欲を向上させることを可能にする方向性を明らかにしなければならない。
- 2003-05-24
著者
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