中山間地域での自然・農業体験、ビオトープ計画による高専生への教育効果の考察ー鳥取県日南町の古民家「かつみや」を拠点としてー

概要

論文の詳細を見る
1.はじめに:米子高専建築学科は、山陰地方唯一の高等教育機関の建築学科として、建築・都市・地域に関する諸課題に対して取り組んできている。本研究では2つの研究室を中心とした本科4年・5年生が鳥取県日野郡日南町の中山間地域の小規模農村集落において、古民家民宿を拠点として農業やまちおこしの継続を目指した取組へ参加し、この活動経験が高専生へ与えた教育的効果の評価を主な目的としている。1.1活動拠点の古民家「かつみや」の概要:「かつみや」は世帯数8の日南町秋原集落にあり、築約100年の登録有形文化財の古民家を活用した体験型農家民宿として2008年にオープンしている。1.2 2011年度の学生活動の概要:本論文で扱う2011年度の活動は、鳥取県が実施する「井手・ため池保全活動支援事業」に採択され、活動資金の援助を受けた。これは、秋原集落・米子高専建築学科・米子市内で子育てを支援するNPO法人の3者が協力協定を結び、日南町や鳥取県日野総合事務所の支援を受けて獲得した。高専生の活動は(1)田車押しや草刈りといった水田の維持管理などに関する自然・農業体験を経験すること、(2)子どもたちの体験をサポートすること、(3)「かつみや」前の苗代用の土地にビオトープを計画することの3つである。この活動を通じて集落の住民にも活気を与え、高専生が参加することで多方面での報道が行われ、将来的には農産物のブランド化や観光者・定住者の誘致も期待されている。2.教育プログラムの概要と評価方法:2.1教育プログラムの一連の流れ:本研究は一連の活動記録とアンケート・ヒアリング調査を用いて、(1)6月25日、8月26日、10月23日の3回でどのような自然・農業体験を高専生が経験したか、(2)この経験からどのような教育効果を得たのか、(3)ビオトープWSを通じてどのような計画を提案し何を学んだかを明らかにし、さらに、(4)地域住民や県担当者からみて高専生の活動参加にはどのような意義があったのかを評価する1つの教育プログラムとしている。2.2参加者への調査方法:参加学生アンケート調査は、2011年2月に活動に参加した計16名を対象に実施した。ヒアリング調査は、2011年2月に地域住民代表者3名と鳥取県日野総合事務所の担当者1名の計4名を対象に実施した。3.結論●高専4ー5年生にとって、自然・農業体験を通じた活動に参加することは、農山村や環境への意識を高めることにつながり、地域住民と一緒に活動することでコミュニケーション力や視野の広がりにもつながることが分った。●ビオトープWSを通じて、実際の利用者の意見をくみ取り、その中から新たな発見をし、皆で合意してテーマや場の作り方を学ぶことができた。●地域住民と県担当者へのヒアリング結果から、高専生には若者の発想、意欲的な活動や交流が期待されていて、今回の継続的な活動によってある程度その役割を果たした結果、地域住民にも活力が生まれ刺激になったことが分った。
2013-03-00

中山間地域での自然・農業体験、ビオトープ計画による高専生への教育効果の考察ー鳥取県日南町の古民家「かつみや」を拠点としてー

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク