鉄筋腐食可視化教材による鉄筋の腐食評価

概要

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鉄筋コンクリート構造物の「長寿命化」や「維持管理」を考える上で、鉄筋腐食の問題は重要な因子である。コンクリート中の鉄筋は強アルカリ性下にあって、表面に不動態皮膜を形成し腐食を抑制している。しかし、塩害やコンクリートの中性化によって不動態皮膜が破壊されると鉄筋の腐食が発生する。鉄筋に錆が発生すると、その腐食生成物により体積が膨張する。この膨張したときの力によってコンクリート表面にひび割れや剥離・剥脱が発生する。これにより構造物自体の耐力が衰える。コンクリート構造物中の鉄筋の腐食を実際に目視で確認することはできないが、鉄筋コンクリート構造物の長寿命化や維持管理の面から、鉄筋の腐食を把握し、様々な劣化要因に対して対策を講じることが急務となっている。コンクリート構造物を維持管理していくために、いくつかの非破壊検査が行われている。鉄筋コンクリートの鉄筋腐食を推定するための評価手法としては、「自然電位法」「分極抵抗法」「コンクリートの比抵抗」等があるが、本研究では比較的運用実績の多い自然電位法に着目する。自然電位法は、鉄筋腐食を推定する手法の中では最も簡便で原理も単純である。しかし、気象条件やマクロセル腐食等の影響を大きく受け、実際の腐食基準と必ずしも一致しないことが指摘されており、信頼できる評価手法として利用されるには至っていない。そこで、本研究室では鉄筋腐食可視化教材を開発した。この可視化教材は透明な水性ゲルによってコンクリートを模したものである。鉄筋の様子や腐食過程の経時変化を目視により観察することが可能となり、水性ゲルにBTB 溶液等の指示薬を含有させれば、色の変化で鉄筋が置かれている環境を把握することができる。これにより、鉄筋腐食を自然電位と目視の両面から評価できる。本研究では、この可視化教材における腐食の再現性を自然電位法によって評価するとともに、可視化教材と実際のコンクリートにおける自然電位の値の相関性について考察する。
2013-03-00

鉄筋腐食可視化教材による鉄筋の腐食評価

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