治療者の妊娠・出産が心理療法に及ぼす影響について : 精神分析的心理療法の海外文献レビュー
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究の目的は、海外文献を概観することにより、治療者の妊娠・出産が、精神分析的心理療法に及ぼす影響についての研究の現状と課題を明らかにし、整理することである。 英国および米国の8つの論文を概観した結果、以下のことが分かった。 (1)治療者の妊娠・出産が心理療法に及ぼす影響に関する研究は、1940年代、事例研究でのエピソード描写から始まり、徐々に実用的な提案や考察を含めた研究、さらに、精神分析の概念に関連づけた報告論文、そして複数の治療者へのインタビューなどに広がり、現在も幅広い研究が行われていること。(2)治療者が妊娠を告げるときには、治療者の逆転移を吟味する必要があるが、一般的には妊娠4-6ヶ月で告げるのが適当であるという推奨があること。(3)治療者の妊娠を契機として、同胞葛藤、羨望、見捨てられ不安、治療者への同一化、など、多くの転移テーマが現れるが、治療者が分析的態度を維持することで、転移が進展し、妊娠という事象が治療に寄与することもあること、などである。
- 2010-10-29
著者
関連論文
- 抑うつ症状をもつ女性との面接経過 : キャンセルと母親転移
- 臨床心理士による新卒看護師支援の試み
- ファミリー・サポート・センター会員が抱える不安について : 依頼会員と援助会員の交流会から
- 治療者の妊娠・出産が心理療法に及ぼす影響について : 精神分析的心理療法の海外文献レビュー