特用樹等の増殖技術及び原種保存法の開発(IV) : キハダ苗の台切りによる萌芽枝の発根性
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概要
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山間地域の振興に寄与するため,地域特性品種育成事業が取上げたキハダについて,さし木増殖法を検討した。2年生実生苗を地際で切断した後発生した2年生の萌芽枝を,長さ20cmのさし穂が3本採れる枝(60cm以上)と2本採れる枝(40cm程度)に区分し,1995年9月上旬,順化室内のプランター(鹿沼土)へさし付けた。さし付けの翌々年(1997年)の6月上旬に掘取って発根状況を調べたところ,部位別の発根率に顕著な差異が認められた。3本に切断した枝では,下部(73%)>中間部(50%)>先端部(4%)の発根率を示し,2本に切断した枝では下部(87%)>先端部(18%)となり,いずれの場合にも下部の発根性が高く,穂木部位が上るにつれて,急激に発根率が低下した。これらの発根状況は切口面からの不定根と観察され,2年生苗軸を利用した場合と同様に,下位の穂木ほど枯損が少なく根量も充実していた。したがって増殖効率からみれば1個体から約6本のさし穂が採れ,その半数が発根したに過ぎないが,穂木が細く軟弱なものの枯死防止を配慮すれば,なお効率のアップが可能と考えられる。
- 1998-03-25
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