スギ花粉症季節前発症における鼻汁細胞診の解析

概要

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【背景と目的】スギ花粉症で本格的飛散前に発症する機序の解明のため,2010年飛散開始前後に受診した患者の鼻汁細胞診を解析した.【方法】綿棒で採取した鼻汁片をハンセル染色し,好中球のみ,好中球優位,好酸球・肥満細胞優位,好酸球・肥満細胞,浸潤細胞なしに分類した.また細菌培養検査を行った.【結果】本格的飛散前発症のスギ花粉感作単独群(n=83)の58%は好中球のみであり,スギ花粉と他抗原に感作された併発群(n=42)の21%,受診時無症状群(n=19)の10%より有意に(p<0.005)高く,本格的飛散前発症の併発群の45%は好酸球・肥満細胞であり単独群の9.6%,無症状群の10%より有意(p<0.005)に高かった.3月,好酸球・肥満細胞は単独群58%(n=107),併発例56%(n=64)で両群とも1月より有意に(p<0.005)増加した.また無症状群の58%は浸潤細胞がなく単独・併発両群の1月〜3月の0〜7%より有意(p<0.005)に高かった.単独群で好中球増多例39名より黄色ブ菌25名と表皮ブ菌12名が検出された.【結語】本格的季節前の単独群は好中球が多く,併発群は好酸球が多いことから両群間には発症機序の違いがあり,前者においては細菌特にブ菌の関与が推定された.
2012-08-30