GPU上でのAMG法におけるChebyshev多項式緩和法

概要

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今後の計算環境では,ストロングスケーリングが求められ,より並列性の高い解法が重要となっている.代数的マルチグリッド法 (AMG 法) を GPU 上に実装する場合,緩和法に Jacobi 法を用いることで並列性を確保できる.しかし, Jacobi 法は収束性が低いことが欠点である.これに対し,収束性の高い Gauss-Seidel 法は,データ間の依存性により並列化が阻害される.そのため,並列性を抽出するために様々な並列化手法が提案されている.本研究では,高い並列性と収束性を持つ Chebyshev 多項式緩和法を AMG 法に適用し, GPU 上での特性評価を行った.三次元拡散方程式の等方性問題では上記の既存手法と同等の性能を得た.異方性問題では Chebyshev 多項式緩和法を適用した方が良い性能を示した.特に, Jacobi 法に対して約 2 倍の高速化を示した.また, AMG 法を前処理とした BiCGStab 法についても評価を行ったところ,並列性を高めるために一部依存性を無視した Multi Color Gauss-Seidel 法より高速になり, Chebyshev 多項式緩和法の有効性を確認した.
2012-12-06