能取湖の低次生産と貧酸素化(シンポジウム:北海道オホーツク海沿岸域と道東汽水湖群の海洋構造と生物生産過程)
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概要
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北海道北東部能取湖における貧酸素水塊の発生機構,分布特性および低次生産(栄養塩,クロロフィル)を調査した.貧酸素水塊の発生機構としては,弱風のため密度躍層が破壊されず,表層からの酸素供給量が減少することが重要と考えられた.貧酸素水塊の分布特性としては,湖口付近にはほとんど分布せず,主に湖心部から奥部の底層に存在することが示された.この理由として,夏季に卓越する南風による吹送循環流の影響が考えられた.湖心部における底層の栄養塩濃度は,貧酸素水塊の出現とほぼ一致して上昇した.表層クロロフィル濃度は,日平均風速が最も弱かった2007年に最も低かった.これは底層の栄養塩が風による上下混合で表層に供給されなかったことが関係していると考えられる.よって,夏季以降の低次生産は,貧酸素水塊の発生と同時に観察される栄養塩再生と上下混合による表層への供給の影響を受けている可能性がある.
- 2011-08-31
著者
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西野 康人
東京農業大学 生物産業学部
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品田 晃良
北海道立総合研究機構中央水産試験場
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佐藤 智希
水産総合研究センターさけますセンター
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菊地 隆太
東京農業大学生物産業学部
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工藤 亮太
東京農業大学生物産業学部
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瀬戸 鈴代
東京農業大学生物産業学部
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松井 大宇
東京農業大学生物産業学部
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西野 康人
東京農業大学生物産業学部
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