きょうだいの立場から照射する障害者のいる家族の生活問題
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概要
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障害児者のきょうだいに生じる生活問題や心理的不安を,その家族全体に生じる生活問題という点から考察を行なった.きょうだいに生じる問題は,これまで先行研究において焦点化されることはあまりなかったが,今日,きょうだいに生じている様々な困難を鑑みると社会的解決を必要とする生活問題を抱える「当事者」として捉え,その実情を把握していくことが重要である.具体的にきょうだいに生じる困難としては,誕生にかかわる親の葛藤や,ライフサイクルの進行に応じて様々に経験される社会的不利,親からのケア役割の継承に関わる問題があり,その中でアイデンティティ形成において課題を抱えることが先行研究のレビューを通して明らかになった.それらは家族全体が抱える生活問題とは不可分なものであり,きょうだいに生じる問題は,母親のケアの専従化,家族の貧困,家族内部へのケアの囲い込みによって生じることを考察した.その上で,きょうだいを含む家族支援の視点について提示した.