知的障害者のいる家族の貧困とその構造的把握
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿は,障害者のいる家族に生じる様々な生活問題を貧困の視点から捉えなおすことを試みる.第一に,障害者・家族の状況を貧困の視角から捉えた調査・研究はあまり見られないが,その中で成人期においても家族への経済的依存は継続していること,障害者のいる家族は,一般世帯と比較して経済的収入が低位におかれていることを明らかにした.第二に,A市における障害者の家族を対象とした調査をもとに,障害者の家族が,貧困状態に陥る構造について考察した.その結果,貧困に陥る構造としては,家計がシングルインカムによって支えられていること,本人にかかる支出が本人収入を上回ることを指摘した.貧困状態に陥った家族においては,その内外で母子一体化による孤立した状態へと帰結することをさらに明らかにした.