模擬評議場面における弁論の影響 : 弁護人の最終弁論への言及頻度とその内容(コミュニケーションの心理及び一般)
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概要
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裁判員裁判の評議において、弁論がどのような影響をもつかを探るために、24名の学生を裁判員、法科大学院の卒業生を裁判官とする模擬評議を実施した。評議は、弁護人の最終弁論が異なる2つのシナリオ(物語型最終弁論および物語+論理型弁論)に基づいて行われ、2つの弁論形式によって評決の結果が異なるか否か、およびその理由を裁判員がどのように最終弁論に言及するかを分析した。その結果、評決の結果は異なるとは言えなかった。評議内容の分析の結果、裁判員は、1評議で平均1.83回しか弁護人の最終弁論に言及しておらず、その内容は、弁護人ストーリーのリアリティの評価、弁護人の主張の確認、弁論に含まれていた法的基準の参照の3類型に要約できた。このことから、判断基準の提供を除き、弁論部分が評議に与える影響は限られる可能性が示唆された。
- 2012-01-13
著者
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