A-2 AIとクリティカル・アプローチ(自由論題)
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概要
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組織とは、メンバーによるディスコースの相互作用の過程によって構成される産物である。こうしたパラダイムを有する組織ディスコース研究の中でも、とりわけ組織変革という現象に焦点を当てる研究者達は、次のような研究関心がある。すなわち、変革過程に潜む多様なステークホルダーの声に傾聴することで、より詳細な変革の因果関係や機微に接近しようとする。また、ディスコースそのものを変容させることで、より実践的な組織変革のモデルや手法を開発しようと試みている。それゆえ、組織ディスコースに基づいた組織変革論を展開しようとする研究者達は、「変革」から「変革化」へと視座を移行している。そのような文脈の中で、アプリシエイティブ・インクワイアリー(Appreciative Inquiry:以下AI)とは、組織の潜在力を引き出すために肯定的態度を持って組織メンバーに語りかけることで、組織変革を促そうとする実践的手法として近年注目されている。しかしながら、AIにあえてクリティカル・アプローチという否定的な視点を持ち込むことが、実は組織変革に関する評価やその過程で抑圧されてしまいかねないステークホルダーを解放する可能性を有する。つまり、AI導入の精度を高めるために、クリティカル・アプローチは不可欠なのである。
- 2012-06-21
著者
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