中国におけるAgrobacterium属細菌の探索と植物バイテクベクターとしての特性解明(アジア地域との微生物研究のネットワーク-アジア微生物の多様性解明と有用機能の開発-,シンポジウム)
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概要
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中国各地,とくに亜熱帯に属する中国南部において,Agrobacterium属を中心にリゾビウム科細菌を収集した。A. tumefaciensは主としてモモから,Rhizobium属はじめ根粒菌は各種マメ科植物より分離した。日本産のリゾビウム科細菌に収集した中国産の同属細菌を加えて,遺伝的多様性の解析を行った結果,16S rDNAを指標とした場合,A. tumefaciensは3つのタイプに分かれること,Agrobacterium属細菌は種ごとの識別が可能であること,さらに,AgrobacteriumとRhizobium属は遺伝的に近縁であることが明らかとなった。さらに,16S-23S rDNAスペーサー領域(ITS)を指標として多型解析を行った結果,本領域は変異に富み,各種ともさらにサブグループに分類することが可能であった。中国で収集した菌株を含めて,A. tumefaciensの多数の菌株を供試し,形質転換系が確立していないダイズに対する感染性を調査した結果,ダイズとA. tumefaciensは基本的に非親和性であり,がん腫の形成は品種及び菌株により差異が認められた。しかしながら,中国産菌株には供試したすべての品種に感染性を示すだけでなく,インゲン,アズキ,サイラトロ,緑豆にも感染性を有する菌株が存在した。さらに,A. turnefaciens, Rhizobium属細菌及びBradyrhizobium細菌とマメ科植物及びバラ科植物を含むバラ目植物との親和性の解析からリゾビウム科細菌とバラ目植物との共進化が示唆された。なお,多数のマメ科植物植物にもがん腫を引き起こすの中国産A. tumefaciens菌株については,本菌株を用いて広宿主域ベクターを構築中である。
- 2001-10-01
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